
外国で禁止されている添加物が、日本で普通に使われているというのを耳にしたので本当かいな?
ということで調べてみました。
国際機関のデータと科学論文に基づく、リスク評価の現在地。長期・日常的な摂取におけるリスクを整理します。
はじめに――なぜ「添加物のリスク」を知るべきか
日本では現在、天然香料や一般飲食物添加物を含めると約1,500品目の食品添加物が認可されています。保存性の向上、食品ロスの削減、製造コストの安定化など、添加物が現代の食生活に果たす役割は確かに存在します。
しかし一方で、WHO(世界保健機関)傘下のIARC(国際がん研究機関)をはじめとする国際機関が、一部の添加物に対して発がん性や毒性のリスクを指摘していることも事実です。日本国内で認可されていても、欧米諸国では使用を禁止しているものも複数存在します。
本記事は、科学的根拠に基づいてリスクが指摘されている添加物を整理し、読者が自らの食生活において情報に基づいた判断を下せるよう、客観的な情報を提供することを目的としています。
評価基準について(IARCの発がん性分類)
本記事では、以下のIARCによる発がん性分類を主な評価軸としています。
| グループ | 意味 | 本記事での表記 |
|---|---|---|
| Group 1 | ヒトに対して発がん性がある(十分な証拠あり) | ● 高リスク |
| Group 2A | おそらく発がん性がある | ● 高リスク |
| Group 2B | 発がん性があるかもしれない | ● 中リスク |
| その他指摘 | 毒性・臓器障害・催奇形性などのリスク | ● 要注意 |
※ IARCの分類は「その物質に発がん性がある確実性の強さ」を評価するものであり、リスクの大きさ(どれだけ危険か)を示すものではありません。
危険な食品添加物 TOP 10
食肉の発色と腐敗防止のために広く使用される添加物。亜硝酸ナトリウム自体の直接的な発がん性は現段階でJECFAにより否定されているが、肉・魚に含まれるアミン類と体内で反応することで、発がん性物質「ニトロソアミン」を生成する可能性がある点が最大の懸念材料。また血中ヘモグロビンと結合してメトヘモグロビンを形成し、呼吸困難・チアノーゼを引き起こすリスクもある。乳児・高齢者は特に注意が必要とされ、アメリカでは乳児食への使用が禁止されている。
砂糖の約200倍の甘味を持つ合成甘味料。2023年7月、IARCが「ヒトに対して発がん性があるかもしれない」グループ2Bに分類したことで注目を集めた。2022年にはフランス国立保健医学研究所(INSERM)が、摂取量の多い人はがん診断のリスクが約13%高くなるとの研究結果を発表。また体内での代謝産物(フェニルアラニン・アスパラギン酸・メタノール)が神経系に影響する可能性も指摘されている。WHOは1日摂取許容量(ADI:体重1kgあたり40mg)の範囲内であれば緊急リスクはないとしている。
石油製品を原料とする合成着色料の総称。かつて24種類が認可されていたが、毒性の指摘を受け現在は11種類に限定されている。動物実験では発がん性・肝機能障害・甲状腺腫瘍・赤血球減少などが報告されている。日本で使用が認められている色素の中には、欧米では使用禁止のものが複数含まれる。EUでは特定のタール色素を含む食品に「子どもの活動や注意力に悪影響を及ぼす可能性がある」という警告表示が義務付けられている。
パンの食感・膨らみを改善する目的で小麦粉に添加される。焼成時に分解される前提のもと日本では限定的な使用が認められているが、1980年代以降に発がん性が指摘され、国内の研究でもDNA損傷作用(イニシエーター)と発がん促進作用(プロモーター)の両方が確認されている。EUをはじめ多くの国で使用禁止。日本では使用する場合はメーカー公式サイトなどで確認が可能。
もともとは農薬として使用されていた物質で、輸入柑橘類の防カビ目的で日本では食品添加物として認可。東京都立衛生研究所の動物実験では、OPPを含むエサを与えたラットの83%が膀胱がんを発症。TBZを与えた妊娠中のラットでは、子どもの手足の奇形が確認されている。果皮に散布されるため、果汁・果肉にも少量残留する可能性がある。アルコールを含むキッチンペーパーで果皮をよく拭くことで大部分を除去できる。
油脂の酸化を防ぐ目的で使用される合成酸化防止剤。BHAは国際機関により発がん性が確認されており(Group 2B)、BHTにも疑いがある。近年は安全性の高いビタミンCやビタミンEへの代替が進んでいるが、一部の加工品では依然として使用されている。特に注意が必要なのは、表示上「酸化防止剤」とのみ記載され具体的な物質名が見えにくいケース。
カラメル色素はⅠ〜Ⅳの4種類があるが、アンモニウム化合物を使って製造されるⅢとⅣには副産物として「4-メチルイミダゾール(4-MEI)」が含まれ、これに発がん性が確認されている。問題は、食品表示において「カラメル色素」とのみ記載され、どの種類が使われているかが消費者に判別できない点にある。アメリカのカリフォルニア州は4-MEIを発がん性物質に指定している。
保存・漂白・酸化防止の目的で幅広く使用される。強い胃腸粘膜への刺激性があり、頭痛・胃痛・喘息様症状などを引き起こす可能性がある。オーストラリアやスウェーデンでは全面禁止、アメリカでは乳幼児食への使用禁止措置が取られている。アレルギー体質の方や喘息患者は特に過敏反応が出やすく注意が必要。
いずれも自然界に存在しない合成甘味料。アセスルファムKは動物実験で胃腸への毒性が報告されており、スクラロースは長期摂取によりリンパ組織の萎縮の疑いと、ホルモン・免疫システムへの影響が懸念されている。2022年のINSERMの研究では、アスパルテームとともにこれらの人工甘味料の過剰摂取とがんリスクの関連が示された。
細菌やカビの増殖を抑える保存料として最も広く使用されている添加物の一つ。単体でも軽度の発がん性が指摘されているが、最大の問題は「亜硝酸ナトリウムとの複合使用」による相乗的な発がんリスクの増大。日常の加工食品の多くにこの両方が含まれているため、複合摂取になりやすい。アメリカでは安全とされる(GRAS物質)一方、一部の専門家からは懸念の声が上がっている。
日常でできる5つの対策
添加物を完全に避けることは現実的ではありませんが、知識があれば賢く選択できます。
原材料表示を読む習慣
購入前に裏面の原材料名を確認。表示の後半にある成分ほど使用量が少ない傾向にあります。
輸入柑橘類の皮に注意
OPP・TBZはアルコールを含むキッチンペーパーで果皮をよく拭くことで大部分を除去できます。
「ゼロカロリー」に頼らない
人工甘味料の過剰摂取を避けるため、水・無糖飲料を基本にする習慣が理想的です。
加工肉の頻度を意識する
ハム・ソーセージなどの加工肉はWHOもGroup 1(発がん性あり)に分類。頻度の管理が大切です。
国産・シンプルな原材料を選ぶ
防カビ剤は輸入品に多く使用。国産品を選ぶこと、原材料の種類が少ない製品を選ぶことがリスク低減につながります。
おわりに
本記事で取り上げた添加物は、いずれも「通常の食事範囲内で即座に危険」というわけではありません。しかし、長期・日常的な摂取が積み重なること、そして複数の添加物の複合摂取による影響が未解明な部分が多いことは、科学的なコンセンサスとして広く認識されています。
「添加物=悪」という単純な二項対立ではなく、科学的な根拠を参照しながら、自分の食生活を主体的に選択できる知識を持つこと。それが健康意識の高い現代人に求められる食リテラシーではないでしょうか。
- IARC Monographs on the Identification of Carcinogenic Hazards to Humans(国際がん研究機関)
- JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)評価報告書
- 消費者庁「食品添加物」(2024年)
- 厚生労働省「マーケットバスケット方式による食品添加物摂取量調査(令和3年度)」
- INSERM, “Artificial sweeteners and cancer risk” — PLOS Medicine, 2022
- 食品安全委員会「食品添加物の複合影響に関する情報収集調査」(2006年)

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